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 Jun Fukamachi
 深町 純
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 Second Phase (セカンド・フェイズ)
 /Jun Fukamachi(深町 純)
Released:
1977
LP:PRO-USE SERIES/TOSHIBA EMI LF-91035
  Recorded:1976〜1977

CD:Tower to the People  QIAG-70053(2012年6月11日発売)
  → タワーレコード限定

2012年(H24年)6月11日、初CD化復刻
  → タワーレコード限定
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深町純アーカイブス(外部サイト)Second Phase レビューのページ
  (こちらのレビューもぜひ。面白いです)
Producer :深町 純 Jun Fukamachi
1(A-1):Ave Maria(Schubert) 6:57
    
 →Youtube(外部サイト)
2(A-2):Left Handed Woman(
大村 憲司) 9:26
3(A-3):Fry Up! Superman(
深町 純) 5:28

4(B-1):Take It Easy, Mr.King Kong(深町 純) 6:03
5(B-2):Plastic Echelon(
深町 純) 6:01
6(B-3):Stick Freighter(
深町 純) 8:16
7(B-4):It's A Game(
深町 純) 1:33

深町 純 Jun Fukamachi
  :編曲(全曲)
  :ピアノ・キーボード・シンセサイザー
  :パーカッション(A-1)
  :ドラムス(B-4)

大村 憲司 :E Guitar
小原 礼 Rei Ohara :E. Bass
村上 "ポンタ"秀一 Syuichi "Ponta" Murakami :Drums(A-2以外)
マーチン・ウィルウェバー :Drums ( A-2 )
斉藤 ノブ :パーカッション(A-3、B-1)
1(A-1):Ave Maria(Schubert) 6:57
深町 純 :Key
2(A-2):Left Handed Woman(大村 憲司) 9:26
深町 純 :Key
大村 憲司 :E Guitar
小原 礼 Rei Ohara :E. Bass
マーチン・ウィルウェバー :Drums
3(A-3):Fry Up! Superman(深町 純) 5:28
深町 純 :Key
大村 憲司 :E Guitar
小原 礼 Rei Ohara :E. Bass
村上 "ポンタ"秀一 :Drums
斉藤 ノブ :パーカッション
4(B-1):Take It Easy, Mr.King Kong(深町 純) 6:03
深町 純 :Key
大村 憲司 :E Guitar
小原 礼 Rei Ohara :E. Bass
村上 "ポンタ"秀一 :Drums
斉藤 ノブ :パーカッション
5(B-2):Plastic Echelon(深町 純) 6:01
深町 純 :Key
大村 憲司 :E Guitar
小原 礼 Rei Ohara :E. Bass
村上 "ポンタ"秀一 :Drums
6(B-3):Stick Freighter(深町 純) 8:16
深町 純 :Key・Per
大村 憲司 :E Guitar
小原 礼 Rei Ohara :E. Bass
村上 "ポンタ"秀一 :Drums
7(B-4):It's A Game(深町 純) 1:33
深町 純 :Key・Piano・Drums
 Review
 国内のミュージシャンのみで製作され、東芝EMIよりリリースされた「Introducing(1975年)とほぼ同じメンバーで製作された国産クロスオーバー。 ホーンセクションはなく、1作目の「Introducing」同様このアルバムもロック色がありますが。ポップな感じが出たと言うか、洗練された感じが増しています。 ドラムは相変わらず村上 "ポンタ"秀一(2曲目を省く)となっており、当時の深町 純の音楽にはなくてはならない存在だったのかもしれません。

 深町 純のシンセサイザーによる表現がより広がっており、LPのライナーノーツによると、4声を同時に出せるアメリカ製の「オーバーハイム」というシンセサイザーを彼が初めて使ったアルバムだそうです。 このオーバーハイムを使ったシンセの多重録音の曲(1曲目)があったり、プロペラ飛行機の音を真似て曲の頭に入れてみたり、トーキングボックスでキングコングの声を真似たりと、遊びも交え新しいシンセサイザーの表現を探っています。 海外のミュージシャンとの積極的なセッションを行なうといった試みとは別の、当時の深町 純の特徴が良く読み取れる内容です。 透明感溢れる流れる美しい音色のシンセサイザーが効果的に使われていて、その音色は制作から30年以上を経過した今聴いても陳腐な感じが全くなく、曲を豪華に盛り上げています。 良い曲が揃っています。

 曲によっては、「Introducing」でも見られた中国風のフレーズや、この2年後(1979年)に結成される渡辺 香津美KILYNバンドに感じが良く似てるのではと思える部分があったりして、その後の国内のミュージシャンの活動にも少なからず影響を与えているのでは?と考えるのは少し深読みし過ぎか?(1980年代のYMOや渡辺 香津美らは少なからず「中国」をモチーフにしていた)

 2曲目(A-2)「Left Handed Woman」は 大村 憲司 氏の代表作で、この曲だけドラムがポンタ氏ではなくMartin Willwebre(マーティン・ウィルウェバー)という人ですが、正確無比で端正なドラムです。  Martin Willwebre は、1960年代後半に 大村 憲司 山村隆男(Bass)と「カウンツ・ジャズ・ロック・バンド」という名前のトリオを組んで、地元神戸でライブ活動を行っていたそうです。 幾十にも重ねられた深町のアナログシンセサイザーの音色が本当に美しく、アレンジの良さを感じます。

 このアルバムで聴ける「Left Handed Woman」の 深町 純 大村 憲司のソロは秀逸。 深町のエレピのソロは聴く人の心にすーっと入ってくる感じで、味わい深い。 大村 憲司のギターは時に多重録音されていますが、後半の約5分間にも及ぶ長いソロは聴く者を飽きさせません。 彼の初リーダー作「ファースト・ステップ(1977年)の復刻版CDに、ボーナストラックとしてアルバムの最後に同じものが入っています(ただし、この「Second Phase」では入っている、曲始めのギターソロの後の「ワン・ツー・スリー・フォー」のかけ声はカットされている)。 または、2008年に発売された「Golden ☆ best 深町 純」では、完全な形で復刻されています。 この曲は、私個人としては何度聴いても飽きが来ないし、聴けば聴くほど味わいが増す感じ。 最初に聴いた高校生の頃よりも今の方が完全にハマっています。 1980年以降の大村 憲司 氏のリーダー作その他にもたびたび登場する、演奏バリエーションの豊富な曲ですが、ポップな感じの増す80年代以降のものよりも、個人的には70年代のこの演奏が好きです。

 同時期の「Left Handed Woman」の録音で別バージョンの演奏としては、カミーノ→ 詳しくは、このサイトの大村憲司ページまで)の「Deep Inside of Camino」(1976年録音)や、深町純の1977年リーダー作「Triangle Session」の復刻版CD(2008年発売Deluxe Edition)にも収録されているものがあり、聴き比べても面白いと思います。

 この他、大村 憲司は、コミカルなリズムが面白い3曲目やその他の曲でもソロをとっています。 4曲目ではジャズ風のソロをとっていますし、6曲目ではロックそのもののソロになっています。 表現の幅が広い。

 1曲目「Ave Maria」はクラシックの名曲で、LPのライナーノーツによると深町 純一人だけによるシンセサイザーの多重録音とされている曲ですが、ドラムやベースがしっかり入っており、後半ではギターソロも入ってくるので、フルメンバーによる演奏かもしれません。 やはりアナログシンセの音がとても美しい感動的なバラードで、雅楽の楽器を思わせる音色が出てる所も面白い。 ピアノやシンセによる多重録音のソロ作品は、1970年代初めから最晩年まで続く深町 純 の特色の一つです。

 最後の7曲目「It's A Game」も深町 純一人による多重録音の曲で、ピアノとムーグ・シンセ、ドラム、それら全てをやはり深町 純一人が演奏しているとの事。 深町 純 のピアノがファンキーで面白く、そこにシンセがかぶっています。 ライナーノーツによると、

 「ここに重なるムーグは大変なスピードで演奏されているのだが、これは76cm/secで録ったピアノを半速の38cm/secで回し、ここに重ねたものである」

 そうで、当時としても面白いアイディアだったのでしょう。 ドラムは、バスドラ・スネア・シンバル・ハイハットが個別に録音されているそうです。 フェードアウトしながらこの短い曲が終わります。

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 東芝EMI発のこのアルバムも、オーディオマニア向けに企画された「良い音質を楽しむための」シリーズ(プロユース・シリーズ)であったようで、ライナーノーツには「Introducing」同様に、「このような素晴らしい機材と録音技術を使っています」といった解説が述べられています。 面白いのは、ライナーノーツを書いているのが音楽評論家ではなく、オーディオ評論家・石田 善之氏であること(石田氏は当時オーディオ雑誌等で生録音に関する記事を多く手掛けていた)。 ライナーノーツには録音機材の一覧表まで詳細に出ていますが、一般の人にはそれが何だか良くわからないはず(笑)。 でも録音スタッフの意気込みと言うか、一生懸命録音したという心意気が伝わります。 それはともかくこのアルバム、深町ファンに限らず、大村 憲司ファンにもおすすめ。 2012年(H24年)6月11日、初CD化復刻

2004(H16)年08月26日掲載
2007年01月一部追記
2012年05月一部修正

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