Steve Marcus
Steve Marcus
スティーブ・マーカス
 1939-2005 サックス(テナー・ソプラノ)・作曲・編曲
  • 略歴:
    1939年9月18日、ニューヨーク市生まれのサックス奏者。 バークリー音楽院卒業後、1963年にスタン・ケントン楽団に入団するも、その年の後半に楽団が解散。 その後、
    Woody Herman(ウッディー・ハーマン)、Gary Burton(ゲイリー・バートン)らと活動。 1966〜67 年頃より、Herbie Mann(ハービー・マン)のグループに在籍。 1968年に1stリーダー作「Tomorrow Never Knows」発表し、翌年1969年にはジャズ・ロックの名盤「Count's Rock Band」発表。 1970年には、ジミー・ヘンドリックスにも影響を与えたと言われている実験的なギタリスト Sonny Sharrock(ソニー・シャーロック)と共に来日。 Sonny Sharrock とは、Herbie Mann のグループで一緒に活動していたそうです。 1971〜73年は、リーダー作でも共演した Larry Coryell(ラリー・コリエル)と活動。 1975〜1987年はバディ・リッチ・ビッグ・バンドに参加。
     
  • 1960年代後半〜1970年代始めにかけて、当時「ジャズ・ロック」と言われていた音楽を実践していたミュージシャンです。 「ジャズ・ロック」とは、ジャズとロックの要素を併せ持つ実験的なスタイルの音楽で、その後の1970年代クロスオーバーや、80年代以降のフュージョン、スムースジャズなどの源流の一つだったとも言われており、1960年後半のフラワー・ムーブメントやサイケデリック・ブームなどとも関係があるようです。 私個人はこの辺にはあまり詳しくないので、興味のある方は下記の書籍などを参考になさって下さい。 この本は、各著者の膨大な知識と見識、資料などに基づき、とても興味深い解説が多く記されていて、かなり面白いです。
     
    • 「ジャズ・ロックのおかげです」
       
      中山 康樹、ピーター・バラカン、市川 正二 共著
       径(こみち)書房 ISBN 4-7705-0138-2 (1994年初版)
       
  • Steve Marcus の参加したアルバムは、下記のリーダー作以外にもかなり沢山あるようです。

2009(H21)年7月 日掲載

Tomorrow Never Knows /Steve Marcus 1968
LP
・  (1968)

CD
・ Water Music 120 (2003年)

Produced:Herbie Mann
Steve Marcus(Acoustic & Electric Saxes)、Mike Nock(Piano )、Larry Coryell(Guitar)、Chris Hills(Bass)、Bob Moses(Drums)、Gary Burton(Tambourine)

 1:Eight Miles High 4:47
 2:
Mellow Yellow 3:55
 3:
Listen People 2:28
 4:
Rain 7:04
 5:
Tomorrow Never Knows 11:11
 6:
Half a Heart 5:22

1967年に製作され、翌1968年に発表された Steve Marcus の1stリーダー作(全曲インストゥルメンタル) 当時、 Steve Marcus と音楽的な交流があり、同じくジャズ・ロックをやっていたという Gary Burton(ビブラフォン)がタンバリンで参加しています。 そういえば、アルバム前半はタンバリンの音がやたら多い印象が。  Steve Marcus のソロは、大部分がフリージャズ的。 製作から40年以上経過した今聴くと各メンバーの演奏テクニックは決して高くなく、現在の感覚から言うと全体的にB級的な雰囲気が漂う感じもするのですが、時代の雰囲気が良く伝わってくるのでそれなりに面白いです。 全体が統一されたイメージで仕上がっており、曲によって作風がバラバラと言うのがないので、次回作の「Count's Rock Band(1969年)よりも聴き易いかもしれません。 なお、2008〜09年現在、CDという形では入手困難な状況のようですが、意外な事に、アップルの iTunes Store で購入可能。

2009年(平成21年)7月

Live At The Whisky A Go Go /Herbie Mann 1968
ライブ・アット・ウィスキー・ア・ゴー・ゴー/ハービー・マン

LP
・Atlantic 1536(1968年)

CD
・east west Japan AMCY-1240(1998年)
・Atlantic  (2005年)
 

Produced:Nesuhi Ertegun
Herbie Mann
(Flute)、Roy Ayers(Vibes)Steve Marcus(Tenor Sax)、Sonny Sharrock(Guitar )、Miroslav Vitous(Acoustic Bass)Bruno Carr(Drums)
 
録音:1968年8月21日 NY

 1:Ooh Baby (by Chris Hill & Columbus Baker)15:11
 2:
Philly Dog (by Rufus Thomas)14:05

1968年に製作された Herbie Mann(1930-2003)のリーダー作(全2曲)。 ハービー・マンは1950年代よりジャズの世界で活躍を始め、60年代はラテンやボサ・ノヴァなども演奏していたと言うジャズ・フルートで有名なミュージシャンで、このライブが録音された1960年代後半は、代表作「Memphis UnderGround(メンフィス・アンダーグラウンド、1968年)の発表などもあり、とても勢いの乗っていた時期との事。 1960年代後半の「ジャズ・ロック」を語る上では外せないミュージシャンだそうです。
 
このアルバムの作風は、当時としては非常に新しい形態のものだったのでしょうが、発売から40年経過した今聴くと何とものんびりした感じの、この時代独特の空気が感じ取れる音楽です。 しかし、決して陳腐化はしていません。 曲のペースはゆったりで、各ミュージシャンのソロも過激と言う事はなく、(2曲目のソニー・シャックマンのギターソロが少し遊んでいるか、という程度) Steve Marcus のサックスも、彼のリーダー作で聴けるようなフリー・ジャズ的なものではありません。
 
Steve Marcus リーダー作「
Count's Rock Band(1969年)にも収録されている「Ooh Baby」が演奏されていますが、これはBassのクリス・ヒルの曲で、「Memphis UnderGround」のセッションで交流した Larry Coryell(Guitar)つながりで、この時期に Herbie Mann が良く演奏していたとの事(CDライナーノーツ・岡崎 正道 氏筆より) 。

2009年(平成21年)7月

Count's Rock Band /Steve Marcus 1969
LP
・ Vortex 2009(1974)

CD

Produced:Herbie Mann
Steve Marcus
(Acoustic & Electric Saxes)、Larry Coryell(Guitar)、Chris Hills(Bass & Rythm guitar)、Mike Nock(Piano & Harpsichord)、Dominic Cortese(Accordian)、Bob Moses(Drums)、Chris Swansen(Arranger & Percussion)

 1:Theresa's Blues(Chris Hills) 12:03
 2:
Scarborough Fair(Paul Simon & Art Garfunkel) 2:27
 3:
Drum Solo 0:46
 4:
Ooh Baby(Chris Hills) 12:12
 5:
C'est Ca(Chris Swansen) 0:17
 6:
Back Street Girl(Mick Jagger & Keith Richards) 5:42
 7:
Piano Solo 0:49

Steve Marcus の2枚目リーダー作(全7曲)。 1960年代後半に行われていた「ジャズ・ロック」と言われている音楽的な試みを代表する名盤と言われているそうです(全曲インストゥルメンタル)。 ジャズ的な要素とロック的な要素が「フュージョン(融合)」ではなく、まさに「クロスオーバー(交差)」、あるいはぶつかり合っているような作風。 ジャズとロックの混ざり具合は雑な感じで、けっして洗練されてはいませんが、荒々しいエネルギーがあり、これが大きな魅力となっています。

Steve Marcus のサックスはR&B的でもありフリージャズ的にも変化し、Larry Coryell のギターはかなり音色を歪ませていてロック的、ピアノはジャズ風、ドラムは何となくたどたどしいR&B風、と各楽器の特色がバラバラ。 今となっては珍しくもない組み合わせの演奏形態なのかもしれませんが、ここでは何か初々しく、かつ緊張感があります。 当時としてはかなり前衛的な試みだったのでしょう。 特に、ジャズロックの名曲中の名曲と言われている1曲目「Theresa's Blues」のエネルギーは凄い。 Steve Marcus のサックスは、マイクで拾った音を電気的に変化させるエレキ・サックスを多用していていて、そのフレーズはR&B的要素があり、後年活躍し始める1970年代の Steve GrossmanDavid SanbornMichael Brecker などにも、少なからずも影響を与えているとするのは考え過ぎか。 曲の後半でフリージャズ的に曲が崩れていく様は、まさにこの時代の雰囲気独特のもの。 その部分では、ギターやエレキサックスの音色がほとんどノイズになっていてかなり過激です。
 
4曲目「
Ooh Baby」の前半テーマ部はカントリー風のブルースというか、大陸的でおおらかな感じで始まり、同じ1969年のローリング・ストーンズの傑作アルバム「Let It Bleed」の作風に近い雰囲気があります。 しかし、曲の後半ではフリージャズ的なサックスのソロが入り、ああやっぱりと思います。 その他、サイモン&ガーファンクルやストーンズのカバー曲があったりしてバラエティー豊かな構成ですが、なにかとりとめもない感じもあります。

ギタ−のLarry Coryell はもともとジャズ系ミュージシャンですが、当時はジミ・ヘンドリックス等のロックの影響を強く受けていたそうで、ジャズロックを代表するミュージシャンの一人となっていたそうです。 Steve Marcus とはこの時既に、やはり当時ジャズロックで有名だった Gary Burton のグループで活動を共にしていたようです。 このアルバムの Larry Coryell クールなソロで存在感は大きい。 ドラムの Bob Moses も、当時のゲイリー・バートン・グループのメンバーだったはず。 プロデュースの Herbie Mann (Flute)とは、前年の1968年に共演していて、1970年頃からは活動を共にしていたようです。

今聴くと、全体的に荒削りな感じの演奏もありどこかB級的な印象がありますが、この時代独特の臭いがして、迫力だけは面白いアルバムです。 1960年代後半の「ジャズ・ロック」と言われていた流れが、その後どのように1970年代クロスオーバーにつながっていったのか、どれほどの影響力をもったのか、あるいは全く関係ないのか、私は詳しい事がわかりませんが、大きな変化の流れの中で一つの通過点になっていたのは間違いないようです。

現在この「 Count's Rock Band」と、3作目「The Lord's Prayer」は、1枚のCDにまとめられて発売されています。 Collectables 6269(1999年発売)。

2009年(平成21年)7月

The Lord's Prayer /Steve Marcus 1969
LP
・Vortex 2013(1969)

CD

Produced:Herbie Mann
1 (Part 1):Steve Marcus
(T-Sax)Tom Zimmerman(T-Sax)、Ed Xiques(T-Sax)Herbie Hancock(Piano)Miroslav Vitous(Bass)、Larry Clark(Drums)
1 (Part 2):Steve Marcus(T-Sax)Tom Zimmerman(Lead T-Sax)、Ed Xiques(T-Sax)Herbie Hancock(Piano)、Miroslav Vitous(Bass)、Bob Moses(Drums)、Jack Gale(Trumpet)、Dave Gale(Trumborn)、Frank Stuart(Guitar & a string Quartet)、Gene Orloff(First violin)、Chris Swansen(Conduct)、Larry Clark(Vocal)
2:Steve Marcus(T-Sax)Herbie Hancock(Piano)Miroslav Vitous(Bass)、Bob Moses(Drums)
3:Larry Clark(Drums & Vocal)
4:「1(Part2)」と同じメンバー、ただし、Steve Marcus(Soprano Sax)、Tom Zimmerman(T-Sax)
5:Steve Marcus(Guitar)Tom Zimmerman(T-Sax)、Ed Xiques(Bass)、Larry Clark(Drums & Vocal)
6:Steve Marcus(T-Sax)Herbie Hancock(Piano & Electric Piano)Miroslav Vitous(Bass)、Bob Moses(Drums)
7:Rachel Perkis(Recorder)
8:Steve MarcusEd Xiques、Tom Zimmerman、Larry ClarkVarious instruments.
Arrangements of "1、4" are by Chris Swansen

 1:Hey Jude(Part 1 & 2)(John Lennon & Paul McCartney) 8:22
 2:
Amy(Bob Moses) 7:55
 3:
Just Like Tom Thumb's Blues(Bob Dylan) 1:00
 4:
T.With Thing(Chris Swansen) 2:06
 5:
Wild Thing(Chip Tayor) 2:24
 6:
Hope(Miroslav Vitous) 10:43
 7:
America(Traditional Arranged by Steve Marcus 1:20
 8:
The Lord's Prayer(Traditional Arranged by Steve Marcus 3:55

同じ1969年に発表された、ジャズ・ロックの名作と言われる「Count's Rock Band」とほぼ同じ基本メンバーと、似た作風のアルバムですが、Miles Davisのグループ脱退後の Herbie Hancock(ハービー・ハンコック、Key)と、Weather Report 結成2年前の Miroslav Vitous(ミロスラフ・ヴィトウス、Bass)が新たに加わっています。 ここまでの Steve Marcus のリーダー作3作品のプロデュースは全て Herbie Mann です。

前作のリーダー作2枚目「Count's Rock Band」同様にロックのカバー曲が含まれていたりジャズもあったりと、各曲の雰囲気はバラエティー豊かですが、前作以上に作風の振れ幅が大きくなっています。 1曲目「Hey Jude」の出だしは演奏が荒くて、サックスとドラムの具合がかなりヤバく、曲が進行するにつれだんだんとまとまっていくのですが、単にルーズだっただけなのか、あるいは意図していたものなのか良くわかりません。 2曲目はフリ−ジャズ、3曲目はリズムが乱れたドラムとガナリ声だけで意味不明、4曲目はストリングス付きの優雅なジャズ、5曲目はロックのカバー曲でボーカル付き、6曲目(作曲:Miroslav Vitous)ではまたジャズに戻ってシリアスな演奏を行い、7〜8曲目は再び意味不明あるいはフリージャズ、とかなりバラバラな構成です。 もともとこの時点(1969年)の「ジャズ・ロック」と言われていた音楽は、まだジャズとロックは完全にはなじんではいないかったようで、それら異質なもの同士がぶつかり合っている感じの荒々しさが魅力なのですが、このアルバムではそれが上手く処理できていない曲が多いのか、個人的には少し消化不良気味の印象があります。

現在、2枚目の傑作リーダー作「 Count's Rock Band」と、この「The Lord's Prayer」は、1枚のCDにまとめられて発売されています。 Collectables 6269(1999年発売)。

2009年(平成21年)7月

Count's Rock Band/The Lord's Prayer
 /Steve Marcus
CD
・Collectables 6269 (1999年)
Steve Marcus のリーダー作2枚目「 Count's Rock Band」と、3作目「The Lord's Prayer」が、1枚のCDにまとめられて発売されています。 各アルバムは、現在単独ではCDになっていないようです。 または、アップルの iTunes Store で個別に購入可能。
 
Sometime Other Than Now /Steve Marcus With Count's Rock Band 1976
LP
・Flying Dutchman BD1 1461 (1976年)

CD
・────

Steve Marcus(Electnic Soprano Sax)、Don Grolnick(Key、Electric piano)、Steve Khan(Guitar)、Will Lee(Electric bass)、Steve Gadd(Drums)
 
録音:1976年1月21〜22日

 1:Sometime Other Than Now
 2:
The New Sado-Masochism Tango
 3:
The Rites Of Darkness
 4:
The Brown Rice Ooze
 5:
Nazca
 6:
Candles

メンバー構成がとても面白いのですが、私はまだ聴いた事がなく詳細が不明です。 かつてCD化された事がないそうで、現在は非常に入手困難。 Setve Marcus 以外のメンバーは、当時人気が高騰し始めていた若手ミュージシャンばかりで、同時期の Brecker Brothers(初期)のバックメンバーとほぼ同じです。 ぜひとも聴いてみたいのですが、ネットでこのアルバムの事を検索すると、演奏者の一人であるギターの Steve Khan がこのアルバムの事を嫌っている事がわかりました。 再発売はしばらくないのかもしれませんが、いずれCD化される事を願い気長に待ちましょう。

2009年(平成21年)7月

Steve Marcus and 201 /Steve Marcus 1992
LP

CD
・Red Baron AK-52908 (1992年)

Smile /Steve Marcus 1993
LP

CD
・Red Baron JK-53751 (1993年)

Steve Marcus Project /Steve Marcus 2007
LP

CD
・Mighty Quinn Productions 1113 (2007年)

このページの最初に戻る
Steve Marcus

このホームページの画像・文章等はすべて転載禁止です。

0438100