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 Jun Fukamachi
 深町 純
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  Jun Fukamachi & The New York All Stars Live
 深町純 & ニューヨーク・オールスターズ・ライブ 
Released:
1978
録音:1978年9月17〜19日
(東京・後楽園ホール、郵便貯金ホールでのライブ)

LPALFA RECORDS ALR-9001/9002(2枚組) (1978年)

CD:インディペンデントレーベル (1995年)
CDRoving Spirits Co,Ltd. under the License from Alfa Records,Inc.
   RKCJ-6015 (2002年)
CD:
ソニーミュージック MHCL1558(2009年9月9日発売)
 

2009年(H21年)9月9日、待望の再CD化発売(3度目のCD化)。
 
ソニーミュージック MHCL1558(2009)
  → ソニーミュージック
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Producer :Shunsuke Miyazumi
1(A-1):Rocks(Randy Brecker ) 6:44
2(A-2):Sara Smile(Hall & Oates) 12:18
3(A-3):Virginia Sunday(
Richard Tee) 4:45
4(B-1):Inside Out(Randy Brecker) 6:00
5(B-2):I'm Sorry(
Mike Mainieri) 10:50
6(C-1):Dance Of Paranoia Op.2(
深町 純) 8:49
7(C-2):Gypsy Jello(
Richard Tee) 5:58
8(C-3):Jack Knife(Randy Brecker) 5:33
9(D-1):Love Play(
Mike Mainieri) 15:31

 1〜3:1978年9月19日 東京・郵便貯金ホールのライブ録音
 4〜9:1978年9月17,18日 東京・後楽園ホールのライブ録音

Jun Fukamachi 深町 純 :Keyboard
Randy Brecker :Trumpet
David Sanborn :Alto Sax
Michael Brecker :Tenor Sax
Steve Khan :Guitor
Richard Tee :Acoustic Piano、Keyboard
Anthony Jackson :Bass
Steve Gadd :Drums
Mike Mainieri :Vibraphon & Percussion

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 Review
 もの凄い大傑作アルバムです。 1978年に東京で行なわれたライブ録音盤で(LPで出ていた当時は2枚組だった)、当時のNew Yorkの実力派若手ミュージシャンが多く参加しており、今にしてみるとかなり贅沢なアルバムで、内容は「非常に」充実しています。 とにかく超お勧めの1枚。 当時は同じメンバーで東京と大阪でライブが行われたそうです。(当時、FMで実況放送もあったと言う事をどこかのサイトに見ましたが、残念私は最近まで知りませんでした)

 演奏されている曲は参加メンバーのリーダー作から選ばれていますが、各曲とも非常に演奏が良く、このアルバムの演奏を先に聴いてしまうと、オリジナルのリーダー作(スタジオ録音版)のほうがつまらなく聴こえてしまうくらい出来が良いです。 実際のライブではもっと沢山の曲が演奏されていたと思いますが、レコード化ということで削られてしまっている曲が聴けないのがなんとも残念。

 David Sanborn(As)Steve Khan(Guitar)は、Brecker Brothers初期のアルバムに参加しており、ここで演奏されている曲目に同グループのものがあります。 Steve GaddRichard Tee は「Stuff」の一員として当時日本でも既に有名になり始めた頃だったのではないかと思いますが、Brecker Brothers Mike Mainieri (マイク・マイニエリ=ビブラフォン)は、当時まだ日本ではあまり有名ではなかったらしく、あるサイトによれば、このミュージシャン達とセッションを行なった 深町 純の手腕や、当時このライブを熱狂的に歓迎した日本のファン達は賞賛に値するそうです。 今や大巨匠となった Randy BreckerMichael BreckerDavid Sanborn の3人によるブラス・アンサンブルが聴けるのもありがたい。 その3人によるブラスが入っている作品は、およそ1975年頃から1979年頃までの短い期間にしか残されていません。

  Mike Mainieri の存在感はこのアルバムでは非常に大きく、随所で素晴らしいソロを披露しています。  Mike Mainieri のリーダー作「Love Play」(1977)や、Brecker Brothers のリーダー作からも数曲入っていますが、このライブやアルバム発表がきっかけで、Brecker BrothersMike Mainieri の日本での知名度が一気に上がったそうです。 その後彼らが「Steps(後にSteps Ahead)」を結成するきっかけにもなっているのではないでしょうか。 このライブ盤の中では 深町 純 はバックに廻ってしまっている印象が多少残り、実力派ミュージシャン達の圧倒的な力量にかすんでしまっているようにも思えます。 しかし逆に言うと、そのくらい各メンバーがやりたい事やっているという、とにかくもの凄いアルバムと言えます。 さらに驚いた事に、レコードのライナーノーツによるとこのライブはほとんど打合せやリハーサルなしで行なわれていたそうです。 恐るべし!(オリジナルLPのライナーノーツは音楽評論家・池上比沙之 氏によるもの)

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 前述の通り、このアルバムは選曲が非常に絶妙で、各プレーヤーのソロがたっぷり堪能できるようになっています。 David Sanborn は主に「Sara Smile」等で、当時まだ20歳代後半だった Michael Brecker は「I'm Sorry」「Jack Knife」等で、Mike Mainieri は「Inside Out」「I'm Sorry」「Love Play」等で十分な質と量のソロを取っています。 あれもこれも良いソロばかりですが、特筆すべきは8曲目「Jack Knife」の後半で行なわれる Michael Brecker(T sax)のソロ。 1970年代後半以降の彼のソロにはつまらないものがほとんど無いと思いますが、これももの凄い。

 ポップスのホール&オーツのヒット曲「Sara Smile」は、当時の David Sanborn が好んでカバーしていた曲で、当時彼のライブでは必ず演奏されていたそうです。  Mike Mainieri のリーダー作「Love Play」にも同じ曲が収録されていますが、こちらの演奏の方が感動的です。

 1曲目「Rocks」は Brecker Brothers の代表曲で、同時期の録音では、同グループの1975年のリーダー作「Brecker Brothers」や、1979年のアリスタ・オールスターズ「 Blue Montreux」でも聴けますが、Randy BreckerMichael BreckerDavid Sanborn の3人による無敵のブラスアンサンブルが聴けるのはこのアルバムと1975年「Brecker Brothers」だけ。 しかもこのアルバムの「Rocks」だけは、 深町 純 のシンセ、 Richard Tee のピアノが加わっており、音の厚みや重厚感が他のアルバムのものとは全く違います。 各ミュージシャンのソロもあきらかに他のアルバムのものより良い気がします。

 また、「Love Play」(9曲目)は作曲者 Mike Mainieri の意向により、必ずホーンセクション抜きで演奏される習わしになっていたそうです。 ブラスセクションの巨匠3人が抜けているわけですが、雄大な演奏で見事にこの大傑作アルバムを締めくくっています。 Steve Gadd(Ds)はこの曲の後半でドラムソロを披露していますが、(皆さんご存知の通り)これほどドラムソロが面白い人も珍しい。 当時 Stuff のメンバーとしておなじみだった Steve Gadd の、1979〜80年頃の日本での人気は尋常でないほど高まっており、彼の参加するライブでは必ず行なわれるドラムソロの際は観客がみな狂喜乱舞してました(これについて詳しくは「Live Stuff」のところで)。 同時期のライブ演奏による「Love Play」は、アリスタオールスターズによる名盤「Blue Montreux(1979年)」にも納められていますが、そちらと甲乙付けがたい。 いや、こちらの方が良いかもしれません。 いずれにしてもMike Mainieriのリーダー作(スタジオ録音)のものを完全に超えています。 深町 純 は、Brecker Brothers の曲「Inside Out」の前半や、自身の曲「Dance Of Paranoia Op.2」でソロを披露しています。 他の曲についてもいちいちコメント付けたいのですが、長い作文になるので省略します...。

 このライブの前にニューヨークでスタジオ録音された「On The Move」と参加メンバーがほぼ同じと言う事で、この2枚のアルバムはセットでじっくりと鑑賞したいものです。 この2枚はどちらも70年代クロスオーバーを代表する大傑作アルバムだと思いますが、これらが日本という国との関わりによって世に出て来た事を日本人として誇りに感じますし、これらのセッションを見事にまとめあげ、音楽メディアと言う形に残してくれた 深町 純 氏に、心から感謝したいと思います。

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 ちょうど2ヶ月後の1978年11月20日には「Stuff」の日本でのライブ盤「Live Stuff」が同じ郵便貯金ホールで録音されています。 Keyで参加しているRichard Teeは、傑作初リーダー作「Strokin'」をちょうどこの頃(9月)にNew Yorkで録音して、翌年リリースしています。 また、このライブの約2ヶ月前には、モントルーJazzフェスティバルでアリスタオールスターズ(アメリカ人ミュージシャンだけによるライブのためのセッションバンドで、深町純は参加していない)による「Blue Montreux」が録音されており、各メンバー共にかなり充実した演奏活動を行っていた最中のライブだったようですが、深町 純はこのライブアルバム発表の後、自身のリーダー作と言う形では海外ミュージシャンとのセッションによるクロスオーバー作品からは遠ざかります。

2004(平成16)年8月26日掲載
2006(平成18)年6月一部追記
2009年(平成21年)7月一部修正

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