Mike Mainieri > White Elephant
 Mike Mainieri
 マイク・マイニエリ
 White Elephant /Mike Mainieri & Friends
 ホワイト・エレファント
Released:
1971
LP
・NYC 60211969  1972年
         
(1969年録音)

CD
・Vol.1:NYC 6021 1994年
・Vol.1:NYC VACF-1008 1994年
・Vol.2:Nagel-Heyer 60112

Produced:
1:Peace Of Mind(Maichael Minieri) 4:53
2:The Jones
(Michael Mainieri) 7:08
3:Battle Royal
(Michael Mainieri) 5:11
4:Loo In His Eyes
(Michael Mainieri) 6:44
5:White Elephant
(Michael Mainieri) 12:03
6:Easy On
(Michael Mainieri & Jon Pierson) 2:41
7:Animal Fat
(Michael Mainieri & Jon Pierson) 4:42
8:Monkey
(Michael Mainieri & Sally Mainieri) 5:09
Mike Minieri(マイク・マイニエリ) :Arranger, Key, Per, Vo, Ulcers
Joe Beck(ジョー・ベック) :Guitar
Warren Bernhardt(ウォーレン・バーンハート) :Key
Michael Brecker
(マイケル・ブレッカー) :T-Sax
Randy Brecker
(ランディー・ブレッカー) :Trumpet
Sam Brown(サム・ブラウン) :Guitar
Ronny Cuber(ロニー.キューバー) :Baritone Sax
Jon Faddis(ジョン・ファデス) :Trumpet
Steve Gadd(スティーブ・ガッド) :Drums
Nick Holmes(ニック・ホルムズ) :Vo,Guitar
Tony Levin(トニー・レビィン) :Bass
Sue Manchester(スー・マンテェスター) :Vo
Bob Mann(ボブ・マン) :Guitar
Hugh McCraken(ヒュー・マクラッケン):Electric Guitar, Acoustic, Slide & Harmonica
Donald MacDonald(ドナルド・マクドナルド) :Drums
Paul Metzke :Guitar
Nat Pavone(ナット・パヴォーン) :Trumpet
Jon Pierson(ジョン・ピアソン) :Bass Trombone,Vo
Barry Rodgers(バリー・ロジャース) :Tenor Trumbone
Lew Soloff(ルー・ソロフ) :Trumpet
David Spinozza(デヴィッド・スピノザ) :Electric & Acoustic Guitar
Ann E. Sutton(アン・E・サットン) :Vo
Frank Vicari(フランク・ヴィカーリ) :T-Sax
George Young(ジョージ・ヤング) :A-Sax
(以上、ライナーノーツのメンバー紹介)

その他、ライナーに名前が出ているミュージシャン(関係者?)
Christine Martin
Jay Messina
Jack Douglas

 Review
 1960年代後半にNewYorkでスタジオミュージシャンとして活動していた若手ミュージシャンが集まって自主制作的に録音されたと言うアルバム。 参加アーティストの中には、後にビッグになっていくアーティストが何人も含まれています。

 Joe Beck は、60年代に帝王マイルス・デイヴィスが初めて共演したギタリストとの事ですが、その他は、まだ20歳前後と若い Brecker兄弟や、ひげの生えていない若い Steve Gadd、その他・・・と、このアルバム制作当時はまだ無名だったであろう若手ミュージシャン達ばかりだと思われます。 しかし、今からすればもの凄いメンバーで、しかもすでにこの頃から後年の彼らの演奏の特色が現れています。 70年代には多くのセッションを行なっていた人達が含まれていて、後の Brecker BrothersSteps 結成のきっかけとなっているアルバムなのかもしれません。 Mike Mainieri はVibはあまり演奏しておらず、作曲・アレンジ・Keyによる参加で、ビブラフォン演奏以外にも才能がある事がわかります。 ボーカル曲が多くポップスのような作風ですが、雰囲気はやはりその当時風。

 しかし、ジャズ・ロック・R&B・ソウル・ポップスなどのいろいろな要素の音楽を融合しようという雰囲気が出始め、多くのミュージシャン達による多種多様なパターンの試みが始まったばかりだったという60年代後半に、ジャズとポップスを融合させると言うこのアルバムの試みは、今聴いてみると、同時期にCTIレーベルで行われていた試みと共に、現在のフュージョンに直接つながっている流れのような気もします。

 ちょうど同じ時期に、帝王マイルスに関係していたジャズ系ミュージシャン達の試みていた電子楽器やロックの要素を取り入れた新しい形のジャズや、一部のジャズ系・ロック系のミュージシャン達がコラボレーションする形で試みていた「ジャズロック」と言われている音楽などとは明らかに違う流れのように感じます。 そう言う意味では歴史的な資料価値がある貴重なアルバムではないかと思います。 復刻版CDでは、LPでは未収録だった曲が追加されています。

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 このグループの結成秘話については下記リンクの、池上比沙之氏によるブログ記事「もう一人のマイケル 前編〜中編〜後編」をぜひご覧ください。
 

関連リンク(外部リンク) (池上比沙之のThings what I feel
 まったくの余談で話が飛びますが、1980年代後半〜90年代前半(クロスオーバーブームからたった10年ちょっと後)にイギリスを中心とした「アシッドジャズ」と言われるブームがあり、当時私も面白がって一時期聴いていました。 基本的にはポップスを70年代クロスオーバー/ソウル/R&B風にやってるという感じで最初は面白がっていましたが、70年代を意識しながらも基本的にポップス/ダンス音楽として作られていた流行モノの音楽だったので、薄っぺらな作りのものが多く、粗製乱造ではないかと思えてきたのですぐに聴かなくなってしまいました。 しかしそんな中でも、「James Taylor Quartet」と「The Brand New Heavies」の2グループだけは、現在でもたまに聴いたりします。

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 「James Taylor Quartet = JTQJames Taylor(ジェームス・テイラー、ハモンドオルガン・Key・Piano)はイギリス人ですが、アシッドジャズ・ブームの当時は、60年代後半〜70年代頃のアメリカ製の刑事ものドラマのテーマ曲をリメークしたり、60年代後半のジャズロック風の曲を演奏する等、世間ではB級的/過去のものと思われていた作風を大まじめに再現すると言うコンセプトが面白いと感じたグループです。 たぶん、60年代後半〜70年代頃のアメリカオタクなんだと思います。
 
(同姓同名のアメリカ人シンガーソングライターがいますが別人です)
 
 
特に、初期(およそ1987〜1990年頃)の作品はそのオタクっぽい雰囲気がかなり濃厚。 James Taylor という人の個人的な好みだけで作ってるんだろうなあ、と想像できる作品が多いのですがそれが面白い。 基本的にはアレンジを楽しむバンドのような気がします。 インストゥルメンタルなのも良いです。 80年代後半当時と言えば、70年代が終わってからそれほど年数が経っておらず、もう少し経って21世紀の今リメークするならまだしも、当時はかなり短いサイクルで過去の流行をリメークするもんだなあと、不思議に思いました。 そう言う意味では、登場が少し早過ぎたグループだったのかもしれません。

 JTQ は90年代に入っても精力的にアルバム発表を続けましたが、少しづつ作風が洗練されていきます。 (各メンバー達のテクニックも向上?) ちなみに、同じ頃90年代に数作アルバムを発表してる「New Jersey Kings」というグループは、James Taylor Quartet とメンバーが全く同じで、作風も同じのバンド名を変えただけのグループだそうです。 なぜそんな事をしているのか詳細不明ですが、演奏内容はなかなかファンキーで良いです。 JTQ 名義のアルバムと共におすすめです。

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 「The Brand New Heavies(ブラン・ニュー・ヘビーズ)」もイギリスのグループですが、1stアルバム「The Brand New Heavies」(1991年)はポップであるものの、ラップなしのインストゥルメンタルで、まだヒップホップの影響がない頃のR&Bといった作風が、70年代クロスオーバーを強く連想させる感じで好きでした。 数曲でゲストの女性ボーカルが入りますが、ドラム・ベースのリズム陣がしっかりしているのでなかなか聴き応えがあります。 ジャケットその他のデザインも60年代後半〜70年代初めのフラワームーブメントを強くイメージさせる感じのデザインです。

 その The Brand New Heavies が、初期のアルバムで使用していたグループのマークにはアフリカ象が描かれています。 その立ち姿は、左右逆ではあるものの、Mike Mainieri の「White Elephant」のジャケットデザインを引用しているのではないか?と最近思いました。 決して「パクってる」と言う意味で言っているのではなく、20年もの時を経て、The Brand New Heavies のメンバー達が、先駆的だった Mike Mainieri の「White Elephant」に、あるいは先人達の作り出してきた新しい音楽の象徴として敬意を払っているのかもしれない、と想像しています。 機会があれば、こちらも一度聴いてみて下さい。
 

左:「White Elephant」ジャケット /Mike Mainieri & Friends(1971年)
中:The Brand New Heavies のマーク
右:「The Brand New Heavies」ジャケット /The Brand New Heavies(1991年)
 

2007(H19)年01月25日掲載・2008(H20)年2月2日追記

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