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Weather Report ウェザー・レポート |
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Mysterious Traveller /Weather Report ミステリアス・トラベラー |
Released:
1974 |
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LP: Columbia Records, KC-32494(1974) CD: |
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1:Nubian Sundance (作曲者のクレジットなし) 10:39 Wayne Shorter : Soprano Sax & Tener Sax Josef Zawinul : Vocal, Piano, Synthesizer, Meruga, Percussion Alphonso Jonhson : Electric Bass Ishmael Wilburn : Drums Skip Hadden : Drums Dom Um Romao : Percussion Edna Wright, Marti Mccall, Jessica Smith, James Gilstrad, Billie Barnum : Vocal 2:American Tango (J.Zawinul, M.Vitous) 3:39 3:Cucumber Slumber (J.Zawinul, A.Jonhson) 8:20 4:Mysterious Traveller (W.Shorter) 7:21 5:Blackthorn Rose (W.Shorter) 5:00 6:Scarlet Woman (A.Jonhson, W.Shorter, J.Zawinul) 5:43 7:Jungle Book 7:22 All Compositions:Josef Zawinul Unless Otherwise Indicated. |
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Review | ||||
グループ5作目。 少しづつ変化して来たこのグループのサウンドが、このアルバムになってやっと全盛期のWeather Reportに近くなって来た感じです。 録音場所がこれまでの米・東海岸(NewYork、コネチカット州 等)から西海岸に移り、これ以降はライブや1980年代の一部のアルバムを省き、カルフォルニア州・ロサンジェルスやノース・ハリウッド周辺での録音が中心となります。 これは作風にも影響を与えているのではないしょうか? アルバムタイトルもそれを暗示していると思えなくもありません。 なかなか良い曲が揃っていておすすめ。 Drums、Perのメンバーがまた変わっています。
これまでのような暗く混沌とした幻想的な曲もありますが、明るい感じやファンク色が出てきました。 Joe Zawinulのシンセの音もこれまでのものと違って、全盛期のものと音色が似ています。 また、結成メンバーである Miroslav Vitousu(ミロソラフ・ビィトウス、主にAcoustic Bass)が2曲目にしかクレジットされておらず、代りにAlphonso Jonhson(Electric Bass)が新しく加わり、最初のベーシスト交代が行われました。 (この2年後にまたベーシストの交代劇があります) 1曲目「Nubian Sundance」は、アップテンポではありながら単純なパターンのドラムを主軸に、テーマとは呼べないような奇妙な短いフレーズの繰り返しや、シンセ、サックス、各種のパーカッション、コーラス、ライブ風の歓声 等が絡み付くように延々と展開されていくのが特徴的なファンク色の濃い曲です。 前作「SweetNighter」(1973年)の1曲目「Boogie WooGie Waltz」をさらにバージョンアップした感じです。 日本のクロスオーバー/フュージョンにはあまり登場しないタンバリンが始めから最後まで鳴り響いていたり、Drumsは2人クレジットされていたりと(左右に分かれてはいますが、ほぼ同じパターンで叩いている)、曲中の音色の種類は明らかにパーカッション/打楽器系のものが多いようです。 時折入る、とって付けたような女性コーラスが、この曲のモザイクのような印象の中に、一瞬のきらめきを与えています。 この辺のセンスは明らかに Joe Zawinul のもの。 ライナーノーツには作曲・編曲のクレジットがありませんが、J.Zawinul がWR解散後の「ザビヌル・シンジケート」で1980年代後半にもこれと似た事をやっています。 曲の最後には、ライブ観衆の歓声や拍手が効果音として入りますが、こういうギミックは後もたびたび出てきます。 同じ音やリズムが程よくループして、曲全体がうねっているように聴こえる事から起こる不思議な恍惚感があります。 驚く事に30年以上経過していますが、今聴いても全く古くささを感じません。 3曲目「Cucumber Slumber」もファンク色の濃い曲。 演奏の途中からフェードインしながら始まりますが、やはりテーマ部分が明快でなく、テナーサックスのアドリブで始まります。 そこではE-Bassが短いフレーズを繰返して弾んだ感じで歌っているので、これがテーマに聴こえてしまいます。 不思議な構成の曲ですが、Bassが主導権を握っているような感じすらあり、サックスやキーボードと三人一緒にアドリブしている感じです。 バスドラやスネアよりもシンバルやコンガの音が大きく、音のバランスが変だなあとは思うものの、このグループの全盛期のサウンドにかなり近い印象。 2002年(Weather Report 解散の16年後)に、1975年〜1983年にかけてのライブ録音の未発表音源を集めた「Live and Unreleased」という2枚組のCDが発売されましたが、そのアルバムの1枚目6曲目に、このアルバム発表の翌年1975年にロンドンのコンサートで演奏された「Cucumber Slumber」が入っていますが、こちらもおすすめです。 また、J.Zawinulのプロフィール紹介の所でも書いているのですが、この曲「Cucumber Slumber」の始めのベースのパターンは、Weather Report解散後の1986〜87年頃にJ.Zawinulが短期間やっていた「ウェザー・アップデート」というグループのコンサートで演奏された全く別の曲「Man With the Copper Fingers」にも引用されています。 この曲のオリジナルは、Weather Report の1986年ラストアルバム「This Is This」に収録されていますが、1987年の「ウェザー・アップデート」のライブでは少々違うアレンジとなっており、出だしのベースラインが、「Mysterious Traveler」の中の「Cucumber Slumber」という曲の出だしに酷似、ベースパターンだけサンプリングされているような感じです(実際の演奏はVictor Baily (ビクター・ベイリー=Weather Report末期のBass)との情報あり)。 4曲目「Mysterious Traveller」は、短いフレーズの繰り返し、抑揚の少ない一本調子の曲の展開、複数同時のアドリブ展開、など例のパターンが使われています。 何となく宇宙的と言うか混沌とした感じや、ファンク色もあるのが面白い。 この曲も2組のドラムが左右にわかれて聴こえてきます。 この他、以上のものとは違う個性の曲も揃っており、このグループ独自の不思議な雰囲気が味わえる1枚でお勧め。 代表作 1976年「Black Market」や1977年「Heavy Weather」を聴いてWeather Report をもっと聴いてみたいと思った方には、次の1枚としてもお勧めです。 2006(H18)年05月02日掲載・2008(H20)年2月9日一部追記 |
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