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 Weather Report
 ウェザー・レポート
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 Tale Spinnin' /Weather Report
 テール・スピニン
Released:
1975
LP
Columbia Records, KC-33417(1975)

CD
・Columbia Records, 476907(1995)
・SONY Music Entertainment Inc, CK-65110(2002)

1.:Man In The Green Shirt (J.Zawinul) 6:29
   Wayne Shorter:Soprano Sax
   Joe Zawinul:Melodica, Fender Rhodes Electric Piano, TONTO, ARP 2600
   Alphonso Johnson:Electric bass
   Alyrio Lima:Percussion
   Ndugu:Drums, Thmpani

2.:Lusitanos (W.Shorter) 7:25
   Wayne Shorter:Soprano Sax, Tenor Sax
   Joe Zawinul:Acoustic Piano, TONTO, ARP 2600, Organ
   Alphonso Johnson:Electric bass
   Alyrio Lima:Percussion
   Ndugu:Drums, Thmpani, Marvhing Cymbals

3.:Between The Thights (J.Zawinul) 9:33
   Wayne Shorter:Soprano Sax
   Joe Zawinul:Steel Drum, Melodica, Fender Rhodes Electric Piano,
          TONTO, ARP 2600
   Alphonso Johnson:Electric bass
   Alyrio Lima:Percussion
   Ndugu:Drums, Thmpani

4.:Badia (J.Zawinul) 5:21
   
Joe Zawinul:Out, Melodica, Muzthra, Vocal,
          West Africk, Xylophone, Acoustic Piano
   Alphonso Johnson:Electric bass
   Alyrio Lima:Percussion
   Ndugu:Drums

5.:Freezing Fire (W.Shorter) 7:29
   Wayne Shorter:Soprano Sax
   Joe Zawinul:Melodica, Fender Rhodes Electric Piano,
          ARP 2600, Cymbals
   Alphonso Johnson:Electric bass
   Alyrio Lima:Percussion
   Ndugu:Drums

6.:Five Short Stories (J.Zawinul) 6:55
   Wayne Shorter:Soprano Sax
   Joe Zawinul:Acoustic Piano, Organ, ARP 2600

 Orchestrations:Josef Zawinul
 Producer:Josef Zawinul & Wayne Shorter
 録音:1975年1月〜2月・米カルフォルニア州 ロサンジェルス Waily Heder Studios

 Review
 グループ結成から丸4年経過し制作されたアルバム6作目で、西海岸の録音2作目です。 これまで年に1枚のペースでスタジオ録音のアルバムが発表されています。 メンバーについては前作「Mysterious Traveller」(1974年)同様、BassがAlphonso Jonson(アルフォンソ・ジョンソン)ですが、Drums・Perのメンバーがまたまた変わっています。 この傾向は1986年頃のグループ解散時まで変わりません。 J.Zawinulのシンセサイザー・キーボードの音色は、70年代後半の頃の特徴的な音色にかなり近くなって来ています。 このアルバムも斬新な内容でお勧めです。

 初期のアルバム(1971〜1973年頃のもの)に比べるとさらに一皮むけた印象で、前作に比べ全体を通して神秘的な感じが薄れ、明るく、ファンク色豊かに変化しています。 初期のアルバムにあった暗く混沌とし雰囲気は既になく、新しいグループのスタイルにたどり着いている感じです。 個人的には、何かしら南国というか暖かい土地を連想させるようなアレンジや楽器の使い方が増えてきているようにも思えますが、録音場所を気にし過ぎでしょうか...。

  • ちなみに、このアルバムは1975年1〜2月にかけて録音されていますが、Wayne Shorter が1975年に発表したリーダー作Native Dancer」はこの少し前、前年(1974年)の12月に同じロサンゼルスで録音されています。 このアルバムは、ブラジルのシンガー・ソングライター、ミルトン・ナシメント(ファルセット=裏声で唱う事が多い)をゲストに迎えています。 バックミュージシャンには、当時のWeather Reportのメンバーはおらず、旧友 Harbie Hancock(ハービー・ハンコック、key)が加わっています。 これまでのWeather Report のアルバムとは全く作風が違い、ほのぼのとした感じの南国ブラジル風音楽で、癒し系の1枚ですが、この数年前まで東海岸で製作していたWeather Report初期のアルバムとの作風の違いに驚きます。

 1曲目Man In The Green Shirt」は曲の冒頭よりテーマがはっきりと分かりやすい曲で、曲調が明るくアップテンポで爽やか、テーマ部とアドリブ部分の構成が分かりやすく、これまでのグループにない新しい個性の曲です。 牧歌的な感じのするメロディーのテーマ部に、アップテンポなリズムが被さってその対比が面白い。 Wayne Shorter のソプラノサックスが十分な量のアドリブを取っていますが、J.Zawinulはあまりソロを取っていません。 ハーモニカ風の音も混じって聴こえますが、シンセでしょうか? ベースも悠々と唱っています。 2002年(Weather Report 解散の16年後)発売の、1975年〜1983年にかけてのコンサートのライブ録音の未発表音源を集めた「Live and Unreleased」という2枚組のCDの、1枚目8曲目には、違うバージョンの同じ曲(しかも同じ1975年の録音)が収録されていますが、どちらもお勧め。

 2曲目「Lusitanos」もテナーサックスのソロが長い、ゆったりとした重々しい曲です。 重々しいと言っても、東海岸で録音していたごく初期の頃のような気難しい感じが払拭されていて、全盛期のカラーが出ています。 ベースの音が面白い。

 3曲目「Between The Thights」は曲調が変わり明るく、何となくコミカルな印象のテーマですが、不思議なメロディーがこのグループ独特のサウンドになっていて、今聴いても本当に斬新。 ドラムのフレーズもファンク色があり魅力的で、ティンパニーとの組み合せが面白い。 スチールドラムの使い方も印象的。 実にいろいろな音色のシンセサイザーが使われているようですが、うるさくない程度に音を重ねています。 お勧めの一曲。

 前出のライブ集アルバム「Live and Unreleased」のCD1枚目冒頭には、このアルバム5曲目のFreezing Fire」が収録されています。 このアルバムと同じ年の1975年にロンドンのコンサートで録音されたものですが、全く印象が違い、かなりアップテンポでファンク色が濃い演奏で面白いです。 ベースが実に朗々と歌っています(ライナーノーツによると、このアルバムのBass奏者と同じAlphonso Jonson(アルフォンソ・ジョンソン))。 前作からBassが Miroslav Vitous(ミロソラフ・ヴィトウス)からAlphonso Jonsonに変わった事を含め、結成以来4年でこのバンドはこんなにファンキーに変化していたんだという事がわかります。 ライブではかなりパワーアップされたバージョンの演奏をしていたようで、スタジオ録音のアルバムだけを聴いていてもよく分からないグループだと思います。

 また、ここまで改めて5作のアルバムを通して聴くと、いかに時代を先取りした音楽をやっていたグループなのかと驚かされるばかりです。 このアルバムもお勧め。

2006(H18)年05月02日掲載・2008(H20)年2月9日一部追記

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