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 Rock'n Rocked Rock
 ロックン・ロックド・ロック
Released:
1982
LP:
 トリオレコード(  )  1982
 Recorded:1982

CD:ケンロード・ミュージック AOCD-1008(2003)
CD:インディペンデントレーベル (2007 /11/20)
CD:Clinck Records CRCD-5053(2013 /02/23)

Producer :Ken Inaoka
1:ロックン・ロックド・ロック Rock'n Rocked Rock (9:44)
    →Youtube(外部サイト)
2:ムーンビーム Moonbeam (9:24)
3:モジャ Modja (6:01)
4:アリストクラット・バチェラー Aristocrat Bachelor (7:04)
5:バラード Ballad (5:09)
 
深町 純 Jun Fukamachi :Keyboard
和田 晃 Akira Wada :E.Guitor
富倉 安生 Yasuo Tomikura :E.Bass
山木 秀夫 Hideo Yamaki :Drums
 
 Review
深町 純は、日本のクロスオーバーブーム初期であった1975〜1977年には、国内で5人編成のかなりロック寄りのクロスオーバーバンド( 深町 純Piano、Synth大村 憲司Guitar小原 礼Bass村上 "ポンタ"秀一Drums、浜口 茂外也:Perc)で秀作を残し、それと同時に1976〜1978年には、いち早くアメリカの若手ミュージシャンとのセッションを行って、クロスオーバーの秀作を残すなど、斬新で密度の濃い活動を行ったアーティストです。
 
 (→詳しくはこのサイトの 深町純 ページを参照ください

深町純 は1975〜1978年の短期間に、アルバム毎に作風を変化させながらも 独特の個性/カラーを持ったアルバムを精力的に発表し続けましたが、クロスオーバーブームの末期であり、1980年代以降のフュージョンブームの兆しが見え始めていた1979〜1980年には、自身のリーダーアルバム制作を行いませんでした。 この「Rock'n Rocked Rock」は、日本国内では深町純 氏が先陣を切ったとも言える「70年代クロスオーバー」の爆発的なブームが去った後、1980年代以降のおしゃれでポップな「フュージョン」のブームが花開いた時期に、それらには背を向けたような作風の作品を、新しいメンバーで製作しました。

 
インステゥルメンタルでロック的、各メンバーのもの凄いテクニックが駆使された中身の濃いハードな作風で、発表から30年以上を経過した今もコアな人気を誇るアルバムです。 このグループの前作「
DG-581」(1981年)ではアコースティック・ピアノが多用され、R&B的な 和田アキラ氏のギターもあり、曲調にも多少70年代の流れを感じましたが、このアルバムはもう70年代クロスオーバーとは言えず、しかも80年代フュージョンは迂回していて、プログレッシブ・ロックとも言えそうな作風。 深町 純の70年代クロスオーバー初期作で、アルバム全体で一つのコンセプトを体現しようとしていた、まさにプログレッシブ・ロックとも言える1975年の「六喩(ろくゆ)」の流れがあるかもしれません。 それとは別の作風、NYのミュージシャンとの70年代の共作アルバムに感じられる、スケールが大きく優雅なテイストも感じ取れる曲もありますが、決して70年代をなぞっていると言う印象はなく、たった4人でもの凄い事やってる、と言う緊張感が溢れています。 タイトル曲の「Rock'n Rocked Rock」や「Moonbean」では、「悲しくも美しい」というバラード的な要素さえも感じ取れます。 聞き込むと、この独特の世界観の虜になる人は多いでしょう。

曲調が激しくロック的とは言え、メロディーやハーモニーが複雑でしかも美しい曲が多く、意外とクラシック的な優雅さや美しさも感じます。 曲の勢いやメンバーのテクニックだけで聞かせるという内容でないところが何とも深い。 複雑なメロディーやリズムのテーマ部の繰り返し、少なめのソロ部分、計算し尽くされたアレンジが曲全体を支配しているというこの独特の雰囲気・特徴は、やはりクラシック音楽が素材になっていると言える、深町純の傑作リーダー作1977年The Sea of Dirac」と共通した特徴と言えるかもしれません。 少数精鋭の各プレーヤーが凄まじいテクニックを駆使しているというのも、「The Sea of Dirac」と共通しています。 聴き比べてみるのも面白いでしょう。 この作風のアルバムがどういうカテゴリーに入れるのがふさわしいのか良くわかりません。 70年代クロスオーバーの時もそうでしたが、深町純 氏のリーダー作は明確なカテゴリー分類が難しいのでは?と感じます。

このアルバムでの 和田アキラ氏の演奏は、同じ速弾きでありながらも70年代の PRISM 初期作での演奏とは違う印象で、現在の演奏スタイルに近い感じがします。 ギターフリークの知合いの某会社社長氏のお話によれば、70年代の PRISM 初期作のアルバムとは使っている楽器が違う事もあってか音色も変化していて面白いと言う事でした。

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この「Rock'n Rocked Rock」から、10年以上もの時を経て1995年に発表された、かなり強力な傑作ライブ録音盤KEEP ALIVE」(KEEP 名義では3枚め)ではさらにパワーアップされた演奏が展開されています。 ただでさえ数少ない「KEEP」名義のアルバムの中、このKEEP ALIVEは傑作にして、貴重な唯一のライブ盤。 超お勧めアルバムなのですが、1995年のアルバム発表以来、CD復刻がないのは非常に残念、というか大いに疑問。 CDによる再発売を「本当に」強く希望します。 再発売されずに埋もれてしまうには、あまりに惜しい1枚です。

      1995「KEEP Alive
深町純(Key)和田 アキラ(E.Guitor)富倉 安生(E.Bass)山木 秀夫(Drums)
 

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2010年11月に惜しも天に召された 深町純 氏ですが、2011年と2012年に 深町純 追悼ライブがあり、そこで和田アキラ氏はじめ4名メンバーによる「KEEP レジェンド」が「KEEP」の曲を演奏されました。 こちらも本当に強力で素晴らしい演奏でした。 「KEEP レジェンド」の再演もぜひともお願いしたいと思います。

2005(H17)年08月18日掲載・2013(H25)年7月一部修正

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