Stuff 
Stuff
スタッフ
 言わずとしれた伝説的な超有名グループ。 リーダーGordon Edwards(Bass、Vo)、Eric Gale(Guitar)、Cornell Dupree(Guitar)Richard Tee(Key、Piano、Vo)、Steve Gadd(Drums)、Christpher Parker(Drums)による6名のバンドで、ドラムとギターが2名ずついるのが特徴。 1976年のモントルーJazzフェスティバルでバンドデビューしましたが、オリジナルメンバー6名による活動期間は1981年頃までと長くありませんでした。 (70年代クロスオーバーの全盛期と、このグループの活動時期は一致しています) それぞれのメンバーは当時かなり多忙なスタジオミュージシャンばかりで、他のセッションやグループによる作品も多く残しながらの活動だったからでしょう。

 どのメンバーも本当に素晴らしいミュージシャンばかりで、このグループのリーダー作に駄作はありません。 どのアルバムにも、このメンバー構成でなければ出せないであろう独特の個性があります。 当時このグループの人気は世界中で高かったらしく、ここ日本でもそうでした。 Richard Tee Steve Gadd の黄金コンビが在籍しているので好きだったという人も多いと思います。 ドラムのSteve Gadd以外にはJazz出身のメンバーがいないグループで、R&Bやソウル寄りの分かり易い、味のあるサウンドです。 ロックやソウル・ポップスのファン達にも人気がありました。 ファンクジャズとかクロスオーバーとかのカテゴリーに含めるにはもともと無理があったようで、本国アメリカではロックやR&Bに分類されているようです。 基本的にはインストゥルメンタルですが、時々 Gordon EdwardsRichard Tee が味のあるダミ声で歌っています。

 1977年〜1981年の間は3〜4度ほど来日コンサートを行っていますが、なぜか Christpher Parker(Ds) だけは後半来日していません。 当時から病気説が流れていましたが、本当の事は良くわかりません。 ちなみに Christpher Parker はこの頃、Brecker Brothers その他多くのセッションに参加しています。 Richard TeeSteve Gadd の黄金コンビは、Stuff 以外にも本当に数多くのアルバムに参加していて、70年代〜80年代始め頃、日本へはStuffの来日コンサート以外に、深町純&ニューヨーク・オール・スターズのライブ渡辺貞夫のコンサートツアー その他で多く来日しています。

 当初本国アメリカでは「Stuff」というグループ名は何故かあまりメジャーではなく、「Gordon Edwards Band」という名前で有名だったという事を当時聞いた事があります。 元々R&B系のリーダーGordon Edwards は、Stuff 結成前にもメンバー変更を繰り返しながら独自のバンド活動を続けていたからのようです。 そのエピソード通り、StuffはベースのGordon Edwards のカラーが強く出ているグループで、各メンバーは非常にテクニシャン揃いなのに、なんとなく一息ついてリラックスして演奏していると言う感じがあります。 ライブ演奏では少し違いますが、スタジオ録音物ではバリバリのテクニックが披露されているという演奏はあまりありません。 「手を抜いている」というよりは「余裕でやってる」感じです。 しかし当時は「Gordonのベースは学芸会レベル」などと陰口をたたくファンがいたりもしました。 Gordonのベースは決して下手くそではなく「テクニックはそこそこだけど、独特の味がある」ベースだと思います。 あの重厚感は白人や東洋人には真似できないと言った友人もいますが、単に体がでかいからかもしれません。 私はこのベースのグルーブ感が大好きです。

 また、ツインドラムという事なのですがアルバムを少し聞いただけではそれに気づきません(笑)。 絵的にツインドラムがカッコいいという理由があったのかどうかは知りませんが、なぜこのシンプルなサウンドにツインドラムが必要だったのか? サウンドに独特の「うねり」を出しているという解釈もあるようですが、いまだに私にはその真意がはっきり分かりません...。 しかし、フルメンバーで演奏中の写真を見ると確かにツインドラムはかなりカッコいい。 正式に発売されている6枚のリーダー作に駄作はなく、どれもお勧め。 個人的には高校生の頃(1978年以降)には良く聴いていましたが、いまだによく聴くグループです。

---------------------------------------------

 1970年代半ばから80年代始め頃の短い期間の活動と言えば、他のアーティストやグループにもたびたび言える事ですが、70年代クロスオーバーのブームと、この Stuff というグループの活動期(あるいは全盛期)はぴったりと一致しています。 特に、1970年代中頃に急激な盛り上がりを見せたクロスオーバーと言われていた音楽は、人気絶頂だった1978〜79年頃よりだんだんとポップに変化し始めて、重要な要素の一つだったR&B色を排除する方向へ向かい、その後1980年代始めに「フュージョン」と言われ始める音楽へと変貌していきました。

 さまざまな個性が本当に多かった70年代クロスオーバー系のアーティストやグループのサウンドの中でも、Stuff のサウンドは R&B そのままだったので、当時の音楽シーンの変化と共に、グループとしての活動は収束していく運命だったのでしょう。 それはともかく、このグループが活動していた時期から30年以上経過した現在も Stuff のサウンドはとても魅力的で、しかも根強い人気があるようです。 これからも永く日本をはじめ世界中の音楽ファンに愛され続けるグループだと思います。

---------------------------------------------

 「Stuff」のメンバーによるアルバムはリーダー作以外に、Carla Bley Band とのセッション「Dinner Music」(1977年)、サリナ・ジョーンズとの「My Love 」(1981年)、深町純とのセッション「Evening Star」(1977年)や、その他に「East」(1977年)という日本の初来日ライブ(Steve Gadd, Eric Galeは不参加)の海賊版などもあるようです。 いろいろなアーティストと積極的にセッションしていたグループだったようなので、下に挙げる以外にもセッションアルバムがあるかもしれません。

 この他に、当時はFMやテレビ等でライブがたびたび放送されていたらしいのですが、私個人は、1980年にFM東京(当時)の「ライブ・フロム・ザ・ボトムライン」という小林克也氏タイトルナレーション、池上比沙之氏 司会のラジオ番組で放送された、ソウルの夫婦デュオ「 Ashford & Simpson」とのセッションライブ(NYのライブハウスで行なわれた、たぶん1979年末頃の年越しライブ録音)をカセットテープで持っているのがちょっと自慢。

 各メンバーの現在の状況には詳しくありませんが、Richard Tee が1993年7月に49歳と言う若さで、Eric Gale が1994年5月に惜しくも 亡くなっています。 Richard Tee 没後の1994年に「Made In America」というタイトルで、一度 Stuff 名義のアルバムが出ています。 Key,Pianoは James Allen Smith と言う人に変わっていますが、亡くなってしまう半年前のEric Gale を含むオリジナルメンバーが全員参加しています。
 

メンバー略歴

  • Gordon Edwards (ゴードン・エドワーズ)
    • Electoric Bass,Vo, Per
    • 1967年頃より「エンサイクロペディア・オブ・ソウル」を結成し、メンバー変更を繰り返しながら活動。1970年代時始めからはVan McCoy(ヴァン・マッコイ)、Grover Washington .JrCharlie BrownCedar Walton 等のリーダー作にたびたび参加。 特に、1970年代のVan McCoy のリーダー作のBassは全てこの人の演奏。 1976〜1981年は Stuff を結成。
    • ネット上では、Gordon Edwards 氏の生まれ年の正確な情報がなかなか見つからないのですが、サイト管理者自宅の押入から最近発掘された、1980年のStuff の日本ツアーのパンフレットのメンバー紹介欄を見た所、年齢が「40歳」となっていました。 1980年当時で40歳と言う事は、1940年生まれ?(未確認情報と言う事で)
       
  • Eric Gale(エリック・ゲイル)
    • Electoric Guitar、1934年9月20日米ニューヨーク州ブルックリン出身〜1994年5月25日没
    • 1960年代以降、アレサ・フランクリン、ポール・サイモン、レナ・ホーン、クインシー・ジョーンズ、ハービー・マン、エスター・フィリップス、ジョー・クッカー、カーリー・サイモン、ヴァン・モリソン、ビリー・ジョエル その他とセッションを重ねる。 1970年代初期よりサイドマンとしてCTIレコードに在籍。1976〜1981年は Stuff に在籍。リーダーアルバムは「Forecast」 (1975)、「Ginseng Woman 」(1976)、「Part Of You」(1979)他があり、トータルでは500ものアルバムに参加。
       
  • Cornell Dupree (コーネル・デュプリー)
    • Cornell Dupree 氏は、2011年5月8日に御逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。どうか安らかにお眠りください。
       
    • Electoric Guitar、くわえパイプ、1942年12月19日 、米テキサス州フォートワース出身 〜 2011年5月8日没
    • 1962年(20歳頃)からKing Crurtis(キング・カーティス)のバンド、The Kingpins(キングピンズ)に参加。1970年前後から、アレサ・フランクリン、ダニー・ハサウェイ、スライ&ザ・ファミリーストーンのセッション等に参加。 1973年に初リーダー作「Teasin'(ティージン)」を発表。1976〜1981年は Stuff に在籍。 1986年 Steve Gadd(スティーブ・ガッド)のバンド「Gadd Gang」に参加。
       

  • Richard Tee(リチャード・ティー)
  • Steve Gadd(スティーブ・ガッド)
    • Drums、1945年4月9日、米ニューヨーク州ロチェスター生まれ
    • スタジオ・ミュージシャンとしてニューヨーで演奏活動しながら、1960年代後半(20歳代始め頃)に、マイク・マイニエリのバンド「ホワイト・エレファント」に参加。 1972年にトニー・レビン、マイク・ホルムスとトリオを結成。1970年代から1980年代にかけ、チック・コリアのバンド「リターン・トゥ・フォーエバー」に参加。1976〜1981年は Stuff に在籍。1980年から1〜2年間、マイク・マイニエリが中心となった「ステップス」(後にSteps Ahesd」に改名し、ドラムはピーター・アースキンに変更)に参加。 1980年代以降は、自己のバンド「Gadd Gang」を結成するほか、デビッド・マシューズ、ポール・サイモン、エリック・クラプトンのツアーに参加するなど、ジャンルを問わず本当に多くのミュージシャンのレコーディングやライブ、ツアーに参加するなど、現在に至るまで超売れっ子のドラマー。 これまでにどれだけ多くのセッションに参加したのかわかりませんが、この人について深く調べていくと1冊の本が出来てしまいそうです。
    • このサイトの Steve Gadd のページはこちら
       
  • Christpher Parker(クリストファー・パーカー)
    • Drums 詳細不明
    • Stuff」での演奏の他、「Brecker Brothers」その他のセッションにとても多く参加し、いくつもの名盤を残しています。 Stuff での活動では、ライブにあまり参加していないなど少し影が薄い印象がありますが、独特のグルーブを持った素晴らしいドラマーです。 個人的には、Will Lee(Bass)とのコンビネーションは抜群だと思います。

2004(H16)年08月26日掲載、2008(H20)年2月一部追記

King Curtis Live at Fillmore West 
 /King Curtis(キング・カーティス) 1971
LP
・  (1971)

CD
・Atlantic Record AMCY-2905 (1998年)

Produced:King Curtis & Arif Mardin
King Curtis(Tenor,Alto & Soprano Sax、All Arrangements)
 

The rhythm section Consis of Billy Preston(Organ) & The Kingpins

  • The Kingpins Including :Cornell Dupree(Guitar)、Truman Thomas(Electric Piano)、Jerry Jemmott(Electoric Bass)、Bernard Purdie(Drums)、Pancho Morales(Conga drums)

The above are Backed up by The Memphis Horns

  • The Memphis Horn led by :Wayne Jackson(Trumpet)、Andrew Love(Trumpet)、Roger Hopps(Trumpet)、Jack Hale(Trumborn)、Jimmy Mitchell(Baritone sax)、Lou Collins(Tenor sax)

録音:Fillmore West, San Francisco  1971年2月

 1:Memphis Soul Stew(by Curtis Ousley) 7;37
 2:A Whiter Shade Of Pale(by Keith Reid & Gary Brooker) 5:19
 3:Whole Lotta Love
   
(by JImmy Page, Robert Plant, Jhon Paul Jones & Jhon Bonham) 2:32
 4:I Stand Accused(by Jerry Butler & William E. Butler ) 6:03
 5:Changes(Buddy Miles) 7:08
 6:Ode To Billie Joe(Bobbie Gentry) 3:24
 7:Mr. Bojangles(Jerry Jeff Walker) 4:29
 8:Signed Sealed Delivered I'm Yours
   
(Lula Hardway, Stevie Wonder, Syreeta Wright & Lee Garrett) 2:38
 9:Soul Serenade(Curtis Ousley) 5:36
 
  ※ "
Curtis Ousley " は、King Curtis 氏の本名だそうです。

 クロスオーバー/フュージョン・サウンドの創始者の1人とも言われているR&B/ソウル界の巨匠 King Curtis(Sax、1934-1971)の、現在入手可能な数少ないアルバムで、代表作の一つとの事(1971年録音のライブ盤)。 彼の主な活動時期は1960年代〜1971年までの10年あまりと短いものの、その演奏スタイルは同時期に活動していた多くのアーティストに大きな影響を与えた偉人だそうです。

 Stuff メンバーのうち、Eric Gale(GUitar)、Cornell Dupree(Guitar)Richard Tee(Key,Piano,Vo)Steve Gadd(Drums)は、King Curtis のグループ「The Kingpins」のメンバーとして演奏していた事があるという情報があり、このアルバムでは Cornell Dupree(Guitar)の名前がクレジットされています。 演奏内容はとにかく「カッコいい!」の一言。 Stuff 各メンバーのグルーブ感はこの辺にルーツがある、というのもうなずけます。 発表から40年経過していますが、今聴いても古くさくないのが驚き、超お勧めです。 (ボーカル曲はありません) 

 King Curtis のソロは超絶技法と言うわけではありませんが独特の味があります。 良い演奏がそろっていますが、その中でも特に1曲目「Memphis Soul Stew」や5曲目「Changes」のグルーブ感は格別。 Cornell Dupree のソロもたまりません。 Stuffの1978年アルバム「Live Stuff」でも演奏されている「Signed, Sealed, Delivered, I'm Yours」も収録されています。 ピーター・バラカン氏によるライナーノーツ(日本語)も一読の価値あり。 ぜひ日本版を買って読んでみてください。

Teasin! /CornellDupreee 1974
ティージン/コーネル・デュプリー
LP
・  (1974)

CD
・WEA 25056 (2007)
・Atlantic 75374 (2008)
・Warner Bros. 13457 (2008)

Produced:
録音:1974年
 
Cornell Dupree(Guitar)Richard Tee(Organ)、Chuck Rainey(Bass)、Bernard Purdie(Drums)、Ralph Macdonald(Perc)、David Newman(Sax)、
 
 1:
Teasin'(Bramlett, Ousley) 3:53
 2:
Blue Nocturne(Ousley) 5:15
 3:
Jamaican Lady(Dupree, Rainey) 3:53
 4:
Feel All Right(Ousley) 3:16
 5:
How Long Will It Last?(Gale)  3:19
 6:
What Would I Do Without You?(Charles)  5:49
 7:
Okie Dokie Stomp(Davis, Davis)  2:49
 8:
Plain Ol' Blues(Dupree)  8:11
 
  • Cornell Dupree 氏は、2011年5月8日に御逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。どうか安らかにお眠りください。
     
Disco Baby /Van McCoy & The Soul Symphony(ヴァン・マッコイ) 1975
LP
・  (1975)

CD
・Victor VICP-2041 (1991年)

 日本でもヒットしディスコブームの先駆けとなった1975年「The Hustle」で有名なソウル界のアーティスト Van McCoy(1944-1979、Key、作曲、編曲)の1970年代のアルバムには、Stuff の面々が良く登場しています。 「The Hustle」が収録されているこのアルバムには、Gordon Edwards(Bass)、Eric Gale(Guitar)Richard Tee(Key,Piano)Steve Gadd(Drums)らがクレジットされています。 特に Gordon Edwards は、Van McCoy が1970年代に発表した10枚のアルバムのほとんどでBassを演奏しており、その他、Eric Gale、Richard TeeSteve Gadd らも登場回数が多いようです。 逆に、Van McCoy Stuff のアルバムに顔を出しているのもあり、1977年「More Stuff」ではプロデュース、1979年「Stuff It」ではバックコーラスで参加しています。

 ストリングスを使った曲もあり、作りが豪華でサウンドには独特の味がありますが、このアルバムに限って言えば、今聴くとStuff のサウンドよりも泥臭い感じのサウンドで、少々時の流れを感じてしまいます。 これに比べると、Stuff のサウンドのほうが洗練されているという感想を持ってしまいます。
 

Crystal Green /Rainbow featuring Will Boulware 1976
クリスタル・グリーン / レインボー featuring ウィル・ブールウェア
LP
・日本フォノグラム EW-8501(1976)

CD
・East Wind UCCJ-4014 (2000年)
 

Will Boulware(編曲・Key)Michael Brecker(T-Sax)Arther Jnkins(Key)Cornell Dupree(Guiter)、Eric Gale(Guiter)、Gordon Edwards(BASS)Steve Gadd(Drums)、Ralph Macdnald(Conga、Per)Chris Hills(Clavinet)

 1976年7月のモントルー・ジャズフェスティバルでの Stuff デビュー2ヶ月前の1976年5月に、面白いメンバーで製作されたアルバム。 Richard Tee(Piano、Key)Christpher Parker(Drums)を除く Stuff のメンバー全員と、Michael Brecker(T-Sax)のセッションで、全編バラードの秀作アルバム。 編曲とKey演奏は Will Boulware と言う人が行っており、まだ日本で有名になる前の Michael Brecker が全ての曲でテーマやソロをとっているのが特徴。 メンバーから想像できるような Stuff のアルバムとは作風は少し違っていますが、ほんわかとして牧歌的、各メンバーがリラックスして演奏しているような曲の印象は、同年の Stuff の1stアルバム「Stuff」に似た所があり、R&B 的な要素は共通しています。 この頃の Michael Brecker のSaxは、1970年代後半以降の研ぎすまされたスタイルにたどり着く前の過渡期のもので、聴いていて多少ツッコミを入れたくなるフレーズもあるのですが、逆にこの頃の録音でしか聴けないフレーズもあったりしてそれなりに楽しめます。 その他、ピアノ、キーボード、ギターのソロも良いものが揃っています。 Gordon Edwards のベースも良い味出してる。 彼の作り出す独特のグルーブ感は Stuff そのもの。 個人的には4曲目「It Ain't No Use」のグルーブ感とMichael Brecker のソロにハマりました。 6曲目「Feel Like Makin' Love」は、当時CTIレーベルにいた Bob James の1974年の1stアルバム「One」にも登場している曲で、このアルバムでのゆったりしたこの曲のアレンジは、何となく Bob James 作品を意識しているような印象。 聴き比べても楽しめます。
 
 また特筆すべきは、復刻版CDライナー(山口弘滋 氏・成田正 氏による)にもある通り、日本人プロデューサー伊東潔 氏・伊東八十八 氏と言う人によって製作されている点。 実は最近この復刻版CDを入手するまで、不勉強にも私はこのアルバムの存在を知らなかったのですが、Stuff の各メンバーや Michael Brecker が日本で有名になる前に、このような質の高いアルバムが日本人プロデューサーによって製作されていた事に大変驚かされました。
 
 このアルバムのためだけに集まったセッションメンバーによるアルバムですが、Stuff 結成のいきさつとは何か関係のある作品なのでしょうか? このアルバムの録音された2ヶ月後の7月に Stuff がデビューし、同年秋頃には 1stアルバム「Stuff」の製作が行われ、また同年7〜9月にかけては、Randy BreckerMichael Brecker と日本人ミュージシャンとの初めての競演作となる、深町純 の「Spiral Steps」が制作されていて、同じ7〜9月にStuffCala Bray バンドのホーンセクションとのセッションアルバム「Dinner Music(1977年発売)も録音されており、短い期間にもの凄い事が起きていたようです。 70年代にこのアルバムの続編は製作されてはいないようですが、2002年以降にいくつか製作されたようです。 この辺も要チェックです。
 

Stingray /Joe Cocker 1976
 
LP
・ (1976)

CD
・ 
 

Joe Cocker(Vo)Gordon Edwards(Bass)Cornell Dupree(Guiter)、Eric Gale(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano, Organ)Steve Gadd(Drums)
 

Live at Montleux 1976 /Stuff 1976
 Review を見る
(ライブ・アット・モントルー・1976)
DVD
・コロンビアミュージックエンターテーメント株式会社
 VABG-1249(2007年12月・日本発売のみ)

CD
・Columbia  1345
(2007)

Gordon Edwards(BASS)Cornell Dupree(Guiter)、Eric Gale(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano)Steve Gadd(Drums)

 1976年7月にモントルージャズフェスティバルで収録された、今まで未発表だったライブ映像のDVD。 Stuffのデビューライブと思われる、日本だけでしか入手できない本当に貴重な1枚。 超お勧め。
 → 詳しくはこちら
 

Stuff /Stuff 1976
 Review を見る
スタッフ
LP
・WARNER BROS. Records. BS-2968(1976年)

CD
・WARNER BROS. Records.
 7599-26267-2 (WE 835)
・WARNER-PIONEER CORP. WPCP-3541(1990年)
 

Gordon Edwards(Bass)Cornell Dupree(Guiter)、Eric Gale(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano, Organ)Steve Gadd(Drums)Christpher Parker(Drums) 他

 Stuff の1stアルバム(スタジオ録音)。 30年以上経過した今聴いても全く古さを感じさせない、インストゥルメンタル癒し系R&Bの傑作。
 → 詳しくはこちら
 

More Stuff /Stuff 1977
 Review を見る
モア・スタッフ
LP
・WARNER BROS. Records. BS-3061(1977年)

CD
・WARNER BROS. Records. WPCP-3542
・WARNER-PIONEER CORP. WPCP-3542(1990年)
 

Gordon Edwards(Bass)Cornell Dupree(Guiter)、Eric Gale(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano, Organ)Steve Gadd(Drums)Christpher Parker(Drums)Gone Orloff(Violin Solo) 他

 リラックスした雰囲気のR&Bという作風はそのままですが、アップテンポな曲が少し増え、都会の夜を連想されるような雰囲気の曲やディープな感じの曲もあり、前年の「Stuff」の牧歌的な雰囲気とはまた違った印象のアルバム。
 
→ 詳しくはこちら

Dinner Music Carla Bley 1977
 Review を見る(Carla Bley のページへジャンプします)
LP
・Watt 6  (1977年)
・ECM 2313106 (1977年)

CD
・ECM 825815-2 (1992年)
・ECM 825815 (2000年)
 

Roswell Rudd(Trombone)Carlos Ward(Alto & Tenor Saxophone、Flute)Michael Mantler(Trumpet)Bob Stewart(Tuba)Richard Tee(Piano、Electric Piano)Eric Gale(Guitar on" 2,4,6")Cornell Dupree(Guitar on" 1,7")Carla Bley(Organ、Piano introduction on "1"、Vocal on 4、Pianp & Tenor Saxphone on 6)Gordon Edwards(Bass Guitar)Steve Gadd(Drums)
録音:1976年7〜9月

Stuff のメンバーと、カーラ・ブレイ・バンド のホーンセクションとのセッションアルバム。 かなりお勧めです。 このアルバムの録音は、発表の前年1976年7〜9月頃ですが、Stuff は同年7月にグループデビューしているので、実はこのグループのごく初期の録音のようです。
 → 詳しくはレビューをどうぞ(Carla Bley ページにジャンプします)

 

East(Live) /Stuff 1977
LP
・不明 (1977年)

CD:なし
 

 Steve Gadd, Eric Galeは不参加らしいのですが、Stuff としての日本初来日ライブ録音盤。 私は手元に持っていないので詳細は不明ですが、東京・晴海で録音されたものだそうで、どうやらブートレッグ(違法な海賊録音盤)のようです。 かなりレアらしく、ネットオークションではたまに数万円と言うとんでもない値段で出品される事がありますが、中古レコード屋を探せば数千円で入手可能と言う情報も。
 
Evening Star /深町 純 1977
イブニング・スター
LP:
KITTY RECORDS MKF-1037
Recorded:1976〜1977年

CD
 

 1:Sea Horse (このアルバムのオリジナル収録曲)
 2:
It's You 深町 純アルバム「The Sea Of Dirac」より)
 3:
Evening Star (このアルバムのオリジナル収録曲)
 4:
In The Holyday Groove 深町 純アルバム「Spiral Steps」より)
 5:
Scoto Phonobine Type II 深町 純アルバム「Spiral Steps」より)
 
6: The Sea Of Dirac 深町 純アルバム「The Sea Of Dirac」より)
 
深町純が Kitty レコードに残した「Spiral Steps(1976年)、「The Sea Of Dirac(1977年)の中からの選曲(4曲)と + オリジナル収録曲(2曲)による変則的なベスト盤(?)
 
オリジナル収録曲である1曲目「
Sea Horse」、3曲目「Evening Star」では、
 深町 純(Key)、Richard Tee(Piano)Gordon Edwards(Bass)、Steve Gadd(Drums)、Christpher Parker(Drums)Cornell Dupree(Guitar)、Eric Gale(Guitar) という、深町 純Stuff メンバーによるセッションです。
 
 オリジナルのアナログ盤や以前再発売されたCDは現在入手困難、ネットオークションでもかなりの高値が付くようなので、この2曲が収録された、「Golden ☆ best 深町 純」(2008年発売)をお勧めします。
  • これまで、Sea Horse」「Evening Starのメンバーについて誤った記述をしておりました。 お詫びして訂正させていただきます。(現在は正しいものに直っています) また、ご指摘いただいた Kenny U 様、誠にありがとうございました。(2009年9月)
     
Golden ☆ best 深町 純 /深町 純 2008
 Review を見る(このサイトの「深町純」ページにジャンプします)
ゴールデン☆ベスト 深町 純
LP:──

CD
ユニバーサルミュージック UPCY-6487(2008年7月23日発売)
 
(1971〜1977年に発表されたリーダー作のベスト盤)

 深町純 の1970年代のアルバムのうち、1971年「ある若者の肖像」、1972年「Hello ! 深町純 II」、1976年「Spiral Steps」、1977年「Second Phase」、「The Sea Of Dirac」、「Evening Star」、「Triangle Session」 から計11曲が選ばれたベスト盤(うち1曲は未発表録音)。 深町純自身の監修によるものだそうで、ファンとしては貴重な1枚。(全11曲)
 
  収録曲の「Sea Horse」「Evening Star」は、深町純 のアルバム「Evening Star」に収録されていた曲で、Stuff のメンバーとの競演作。 その他、豪華なメンバーによる意欲作が収録されています。 お勧めです。
 
 ・
詳しくはこちらまで(このサイトの「深町純」ページにジャンプします)
 ・またはこちら→ ユニバーサルミュージックのサイトまで

  (このサイトではアフィリエイトプログラムは一切行っていません)
 
Jun Fukamachi /深町 純 1977(?)
ジュン・フカマチ
LP:
KITTY RECORDS MKY-6003

CD
 

 アルバム「Evening Star」同様、深町 純Kitty レコードに残した「Spiral Steps(1976年)、「The Sea Of Dirac(1977年)の中からのベスト盤 + アルファのアルバムで、一部、深町 純のアルバムEvening Star」と曲が重複しています。

収録曲 1:Sea Horse(Stuff とのセッション)、2:It's You(アルバム「The Sea Of Dirac」より)、3:Evening Star(Stuff とのセッション)、4:Neutrino深町 純アルバム「The Sea Of Dirac」より)、5:Scoto Phonobine Type III(アルバム「Spiral Steps」より)、6: Apres Un Reve (After A Dream)深町 純アルバム「The Sea Of Dirac」より)
 

Live Stuff(Live) /Stuff 1978
 Review を見る
ライブ・スタッフ
1978年11月20日 東京・郵便貯金ホールでのライブ
 

LP
・WARNER BROS. Records. P-10629W(1978年)

CD
・WARNER-PIONEER CORP. WPCP-4206(1991年)
 

Gordon Edwards(Bass)Cornell Dupree(Guiter)、Eric Gale(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano)Steve Gadd(Drums)

 超お勧めライブ録音盤(日本録音)。 会場の大盛り上がりの雰囲気が良く伝わる1枚。 スタジオ録音の前2作と違い、各メンバーの妙に高いテンションの演奏とテクニックの素晴らしさが楽しめます。 Steve Gadd のもの凄いドラムソロも収録されています。 (日本のレコード会社が製作)
 → 詳しくはこちら
 

Stuff It  /Stuff 1979
 Review を見る
スタッフ・イット
LP
・WARNER BROS. Records. BSK-3262(1979年)

CD
・WARNER-PIONEER CORP. WPCP-3543(1990年)
 

Gordon Edwards(Bass)Cornell Dupree(Guiter)、Eric Gale(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano, Organ)Steve Gadd(Drums)Christpher Parker(Drums) 他

 明るくとてもハッピーな気分になれる1枚。 ホーンセクション・ストリングス・コーラス付きで豪華なサウンドですが、Stuff の独特なグルーブ感は変わらず。 これもお勧めです。(スタジオ録音)
 
 → 詳しくはこちら
 

Live In New York /Stuff 1980
 Review を見る
ライブ・イン・ニューヨーク
LP
・WARNER BROS. Records. 3417(1980年)

CD
・WEA 3544 (2000年)
 

Gordon Edwards(Bass)Cornell Dupree(Guiter)、Eric Gale(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano, Organ)Steve Gadd(Drums)Christpher Parker(Drums)

 スタジオ録音物に関しては新しい録音になる度に、ゲストやブラスが加わる等してだんだんとサウンドが豪華になっていったグループのリーダー作でしたが、このアルバムは原点に戻ってオリジナルメンバー6名だけの演奏。 くしくも、オリジナルメンバーだけで制作されたグループ最終作となっており、嵐のように巻き起こった70年代クロスオーバーのブームもそろそろ終わろうとしていた時期のアルバムでもあります。

 ライブハウスなどの小さな会場でのLive風 & リラックスした感じの演奏でとても良い感じです。 しかも音に厚みがあり、Stuff のアルバムの中でもツインドラムの良さが一番良くわかるアルバムかもしれません。 (左右のどちらが、Steve GaddChristpher Parker なのか、何曲目で分るでしょうか?)

 全ての曲が良い演奏で、あえて全曲インストゥルメンタルなのも非常にグッド!なのですが、特に5曲目「Love The Stuff/Ain't No Mountain High Enough」のメドレーは、このグループの真骨頂とも言うべき名演奏。 このグルーブ感は他ではなかなか味わえません。
 
 → 詳しくはこちら
 

My Love /Salena Jones(サリナ・ジョーンズ) 1981
LP
・  (1981年)

CD
・JVC 61034 (2003年)
 

Salena Jones(Vocal)Gordon Edwards(Bass)Cornell Dupree(Guiter)、Eric Gale(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano, Organ)Steve Gadd(Drums)

 女性ボーカリスト、Salena Jones 1981年発表のリーダーアルバム。 バラードが中心の、リラックスして聴ける名盤。 バックは Stuff のメンバーが演奏しています。 このアルバムは日本のレコード会社による製作です。
 

Best Stuff /Stuff 1981(?)
LP
・WARNER BROS. Records.  (1981年?)

CD
・      (2007年)
 

 70年代に製作されたアルバムの中から選曲されたベスト盤(全10曲)。 これが出た当時私は Stuff 名義のアルバムは(LP)は既に全部持っていたので買いませんでしたが、1978年「Live Stuff」からは選曲されていないはずです。 当時、ベスト盤が出たのにニューアルバムがなかなか出ないので寂しく思った思い出があります。 その後オリジナルメンバーが全員揃ったアルバムは結局発表されなかったわけですが、今にして思えば、80年代初頭はクロスオーバーブームは既に去り、その次のおしゃれでポップでR&Bの匂いのしない「フュージョン」が台頭し始めていました。 時代の流れだったんですねえ...。
 
The Gadd Gang /The Gadd Gang 1986
ガッド・ギャング
LP

CD
・Epic/Sony 32,8H-87 (1986)
・ Columbia CK-40864 (1991)
 

Steve Gadd(Drums)Cornell Dupree(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano, Organ)、Eddie Gomez(Acoustic Bass)、Ronnie Cuber(Baritone sax)、

Steve Gadd のR&Bグループ「The Gadd Gang」の1stアルバム。 Stuff のメンバー3人(Steve GaddCornell Dupree、Richard Tee )が演奏している事により、グルーブ感は Stuff に近いものがあります。

Bass の Eddie Gomez は、ジャズピアノの巨匠 Bill Evans(1929-1980)のトリオに1966〜1978年の間在籍、70年代クロスオーバーブーム後の1980年からこの頃までは、Mike Mainieri(Vib)のアコースティックジャズのグループ「Steps(Steps Ahead)」の初期のアルバムに参加するなど、数々の名演奏を残していますが、このグループでも Acoustic Bassを中心に演奏しており、またこのアルバム自体が録音されたのが80年代半ば過ぎでもある事から、個人的にはこのアルバムのサウンドは70年代の Stuff サウンドとはちょっと違ってるかな...という感想です。  悪くないアルバムだと思いますが、70年代 Stuff サウンドのグルーブ感や高揚感を期待すると、少し違和感を感じるかもしれません。
 

Live at Bottom Line /The Gadd Gang 1988
ガッド・ギャング
LP

CD
・Sony Music (1988) 
 

Steve Gadd(Drums)Cornell Dupree(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano, Organ)、Eddie Gomez(Acoustic Bass)、Ronnie Cuber(Baritone sax)
 

Live at Pitt inn 1988 /The Gadd Gang 2010(1988年録音)
ガッド・ギャング
 
DVD
・YAMAHA  (2010)

1988年のライブのDVD

Steve Gadd(Drums)Cornell Dupree(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano, Organ)、Eddie Gomez(Acoustic Bass)、Ronnie Cuber(Baritone sax)
 

Here and Now /The Gadd Gang 1991
ガッド・ギャング
LP

CD
・Sony Music 10103 (1991) 
 

Steve Gadd(Drums)Cornell Dupree(Guiter)Richard Tee(Piano、Electric piano, Organ)、Eddie Gomez(Acoustic Bass)、Ronnie Cuber(Baritone sax)
 

unclefunky /CornellDupreee 1998(1992年のライブ)
アンクル・ファンキー/コーネル・デュプリー
CD
・  (1998)

Produced:
録音:1992年(ニューヨークのライブ)
 
Cornell Dupree(Guitar)Will Lee(Bass)、Richard Tee(Key、Organ)、Erik Parker(Drums)、Steve Greenfield(Tenor sax)
 
Made In America /Stuff 1994
LP

CD
・Toy's Factory TFCL-88951 (1994年)
 

Gordon Edwards(Bass)Cornell Dupree(Guiter)、Eric Gale(Guiter)、James Allen Smith(Piano、Electric piano, Organ)Steve Gadd(Drums)、Christpher Parker(Drums)

 惜しくも1993年7月に49歳という若さで亡くなってしまった Richard Tee への Stuff メンバーによる追悼アルバム。 Piano/Key はJames Allen Smith と言う人に代わっていますが、他のオリジナルメンバーは全て参加しています。 Eric Gale(Guitar)はこのレコーディングの半年後(1994年5月)に惜しくも亡くなっています(享年59歳)。 サウンドは1970年代のものとはやはり少し違いますが、Eric Gale 最晩年の演奏も堪能でき、Stuff ファンにとっては貴重な1枚。 (1993年11月録音)
 

Made In America /Stuff 1994
LP

CD
・WARNER BROS. Records.  (1996年)
 

70年代に製作されたアルバムの中から選曲されたベスト盤(全15曲)。
 
Now /Stuff 2003
LP

CD
・  (2003年)
 

Gadd /Steve Gadd 2002
LP

CD
・  (2002年)
 

Live at Voce /Steve Gadd and Friends 2009
LP

CD
・Toy's Factory TFCL-88951 (1994年)
 

Steve Gadd(Drums)、Joey DeFrancesco(Organ)Ronnie Cuber(Baritone sax)、Paul Bollenback(Guitar)、Edie Brickell(Guest Vocal)
 
このページの最初に戻る
---------------------------------------------
Stuff 

このホームページの画像・文章等はすべて転載禁止です。

0498663